豊島将之竜王(30)が挑戦者の羽生善治九段(50)に3勝1敗として、初防衛まであと1勝にまで迫った、将棋の第33期竜王戦7番勝負第5局が5日午前9時、神奈川県箱根町「ホテル花月園」で始まった。タイトル通算100期獲得のためには1つも負けられない羽生が先手で、初手先手7六歩と角道を開けた。これに対し、後手豊島は後手8四歩と飛車先の歩を突いた。

羽生は第3局(11月7、8日、京都市「仁和寺」)を終えて帰京した9日に38度9分の発熱があった。10日に診察を受けたが熱が下がらず、11日から入院。新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査を受け、陰性だった。病名は無菌性髄膜炎で、14日に退院した。このため、同月12、13日に福島市「吉川屋」で予定されていた第4局は延期され、第5局(同26、27日)の会場となっていた鹿児島県指宿市「指宿白水館」が第4局として行われた。今回の対局も本来なら第6局の予定だったが、繰り上げられた。

対する豊島は2年前に初タイトルとなる棋聖を獲得以降、同年王位、昨年は名人、竜王、今年は叡王と獲得した。ただし、昨年の棋聖、王位、今年の名人と防衛にはことごとく失敗している。直近の11月30日には、渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権を争う、第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦プレーオフで、永瀬拓矢王座(28)に敗れた。重要な対局が続くが、ここで初防衛を決めたいところ。

持ち時間は8時間。5日夕方に封じ手となり、6日に指し継がれる予定。