緊急事態宣言再発令中の11都府県で、東京都が唯一、営業時間短縮に応じた飲食店への協力金を中小事業者に限定していることから、大手事業者から「平等に支給してほしい」と切実な声が続々と上がっている。政府は時短に応じた飲食店は1店当たり1日上限6万円を支給すると発表したが、都では支給対象を資本金5000万円以下または従業員100人以下の中小事業者に限定している。

「紅虎餃子房」などの飲食店を都内だけでも126店舗を展開する際コーポレーション代表取締役の中島武氏(72)が15日、都内で取材に応じ、「コロナ対策は全員で取り組むもので事業規模の大きさは関係ない。(中小と)同じような支援を切にお願いしたい。それが本当のコロナ対策の基本なのでは」と訴えた。同社は現在、店内飲食について115店舗を午後8時までの時短営業とし、11店舗を休業している。中島氏は「大手は家賃が高いし従業員も多い。今は何とか頑張っていますが、今後、頑張りたくても雇用が守れなくなる。国も都も見殺しにしないでほしい」と話した。

「庄や」など都内だけでも196店舗を展開する居酒屋チェーンの「大庄」担当者も「経営努力を重ねるも毎月、億単位の赤字が続き、大変な苦境に直面している。体力的に限界が来ており、今後雇用が守れなくなってくる」とし、協力金支給を強く訴えた。

都担当者は協力金支給を中小事業者に限定する理由を「大企業は財政的に対応していただける力がある」と説明。さらに「昨年4月から中小事業者限定で協力金を支払ってきたルールがある。その考えを変える予定はない」としている。【近藤由美子】