5人の総理大臣経験者が「原発ゼロ」に向けた共同宣言を発表した。小泉純一郎元首相は11日、東京・千代田区の憲政記念館で行われたシンポジウムで講演し、「過ちは改めていかなくてはならない」と述べ、原発政策からの転換をあらためて訴えた。菅直人、鳩山由紀夫の元首相が会場に駆けつけ、3人で握手をかわしたほか、細川護熙、村山富市元首相も賛同するメッセージを寄せ、現在の原発政策からの転換を訴えた。

小泉氏は「私はあの事故までは推進論者だった。何で信じてしまったのか」と悔いた上で「安全、コストが安い、クリーンエネルギーが3大大義名分。自分で勉強していくうちに全部ウソだと分かった」と述べた。「テレビでもはっきり言った。経産省の幹部から1人ぐらい抗議が来るかと思っていたら、1人も来ない。なぜか? 私が言っていることが本当だから。経産省も計算違いしている」と、小泉節で切り捨てた。

民主党政権の初代総理だった鳩山氏が小泉氏に「もう一肌脱いでいただき『脱原発政党』をつくっていただければ、賛同したい」と、語りかけるひと幕も。事故当時政権を率いた菅氏は「日本に400万ヘクタールある農地で米や麦や大豆や野菜を作ると同時にソーラーパネルを並べると、日本の使う電力の2倍になる」などの、持論を述べた。

細川氏はメッセージで「汚染水はコントロールされている、という無責任な指導者の発言によって『復興五輪』とは名ばかりのイベントをコロナがいまだ収束していない中で本当に開催してもいいのか」と指摘。村山氏は「残念ながら、日本はいまだに脱原発を決断せずにいる。自然エネルギー推進においても世界から大きく後れを取っている」と訴えた。

菅義偉首相は同時間帯、目と鼻の先にある国立劇場で開かれた追悼式典に出席したが、脱原発には触れなかった。5人の元総理の提言に、菅首相はどう向き合うのだろうか。【大上悟】

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