徳島県徳島市の阿波おどりを主催する阿波おどり実行委員会(委員長・内藤佐和子市長)が3月31日に突然、解散した件で、2019年(平31)から実行委と結んでいた「阿波おどり事業企画運営業務委託に関する基本契約」を解除された、イベント企画会社大手のキョードー東京を代表企業とする3社の共同事業体が12日、都内で会見を開いた。

キョードー東京の前田三郎取締役は、基本契約により委託される予定だった21、22、23年度の阿波おどり事業を受託できなかったことで、得られたであろう収益を得られない不測の損害をこうむることになった結果を受けて、履行不能に基づきこうむった損害の賠償を請求すると発表した。

キョードー東京と同社のグループ会社のキョードーファクトリーと徳島市のネオビエントによる3社で構成する共同事業体は、徳島市などが構成する阿波おどり実行委員会と2019年(平31)度から23年度まで5年間、運営委託契約を結んだ。

ただ、同年は台風10号の接近で安全確保が困難になったとして2日間、中止した。16年ぶりの中止の影響が響き、1億1300万円の赤字となった。20年には新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全日程が中止となった。共同事業体は、中止となった開催準備費用の分担を実行委員会側に協議を求めた。一方で徳島市は、事業が赤字になった場合は税金で補填(ほてん)せず、共同事業体が責任を負うという契約のため、共同事業体が求める経費負担に応じない方針を示した。

実行委員会は3月31日に、現行の運営体制では実施は困難として解散と、共同事業体が基本契約に盛り込まれた固定納付金500万円を支払わないこと及び桟敷などの保管料の支払い遅延を理由に契約を解除すると発表した。実行委員会の委員長を務める内藤佐和子市長は3月の定例会見で「運営体制が形骸化しており、再構築する必要がある」などと述べていた。

共同事業体は会見の際、報道陣に配布した資料の中で20年度の固定納付金については、新型コロナウイルス感染症による開催中止の場合に、支払い義務が免除されることが基本契約第42条及び年度契約第6条において合意・確認されていたため、支払っていなかったにすぎず、当事者間の業務不履行は存在しないとした。また倉庫の保管料の支払い遅延については、支払先の東海運に事前に連絡し、理解してもらった上でのこととして業務不履行は存在しないとした。その上で、桟敷などは徳島市の財産であり、阿波おどりの催行を前提に受託管理していたもので、事業の中止が市及び実行委員会で決定された後は、所有者が管理すべきとした。