長野県富士見町で12日、ブリーダー業を営む60代男性宅の屋外犬舎から体長約1メートルの「オオカミ犬」2頭が逃走を続けていたが、ブリーダーの飼い主、警察、保健所職員ら最大50人態勢での捕獲作業が実り、午後2時すぎに自宅敷地内で無事捕獲された。

飼い主は「本来は飼育方法などを指導する立場であるのに、逃がしてしまった。一般の飼い主が同じことをしたことより責任は10倍重い」と反省。普段食べているエサなどを使ったわなも仕掛けたが、何度も失敗。警察らが網などを使って犬舎付近まで追い込み、最後は待ち構えた飼い主がタックルのように抱き締めて捕まえた。

10日に着手したフェンス補強工事を翌日にまで延ばしてしまったことが原因だった。逃走確認は一夜明けた11日早朝。内にいた4頭すべてが外に出てしまっていたが、うち2頭はすぐに自発的に犬舎へ戻った。白色の雌2頭は幸い自宅敷地外には出なかったものの、茂みに隠れたりなど捕獲開始から30時間以上の逃走劇。「フェンスの経年劣化を防ぐためと、さらに2重扉を厳重にしようとしているところでした。次の日に残りの作業をやろうと思っていたら、一番弱っていた場所から(犬が)出てしまった。普段からずさんな管理をしていたわけではないのですが、ミスではある」と説明した。

ブリーダー歴は10年以上。県の許可を得たうえで、計13個の大きな犬舎で「オオカミ犬」18頭を飼育している。「起きちゃいけないこと。みなさまに、ご迷惑をかけてしまい本当に申し訳ないと思っています」。不眠不休で疲労感のある体でも、暗くなるまで犬舎で作業を続け、補強工事を完成させていた。【鎌田直秀】

◆オオカミ犬 オオカミとハスキーやシェパードなどを掛け合わせた交雑犬で大型犬種の1つ。オオカミの血が75%以上のものはハイパーセントと称され、外見がオオカミに近くなるために人気傾向になる。ハスキー犬に比べるとやせ型で、体毛の密集度が高いために寒さには強い。嗅覚や聴覚、運動能力などは他の犬種よりも優れている。飼い主が主導権を握っていれば人を襲うことは少ないが、犬よりはしつけは難しい。ウルフドッグとも呼ばれる。