東京五輪の聖火リレーは26日、山梨県1日目を迎え、南部町から甲府市までの10区間12市町を巡った。

韮崎市では世界遺産の富士山にちなんで命名された勝俣富士子さん(63)がトーチを高々と掲げた。富士吉田市で生まれ育ち、現在は富士登山道吉田口を徒歩で5合目まで登って星空を眺めるイベントに参加したり、毎月1日の道祖神様参拝時にゴミ拾いの活動を行うなど、富士山に寄り添っている。この日は曇っていたため、富士山を眺めながらの走行とはならなかったが「毎日見たイメージが1日1日違うのが富士山。近くに住んでいても飽きない。グッと力づけてもらうこともあり、遠くからホッコリ見守ってくれる時もある。信仰の山というだけあります」と背中を押された様子だった。

本来は五輪を機に訪れる観光客に富士山の良さを伝えたかったが、新型コロナウイルスの影響により、海外からの観客は認められないことが決定している。「世界中の人に富士山の美しさ、崇高なたたずまいを見ていただきたかったのですが、富士山の素晴らしさは今年1年だけじゃない。これからもアピールしていきたい」と継続的な発信を続けていく。約200メートルの走りには「私は医療従事者の端くれとしても、コロナに負けないで頑張るぞという思いも伝えられたと思います。(点数は)80点はいったかな」と笑顔を見せていた。

 

◆26日の聖火リレー 山梨県1日目は南アルプスや八ケ岳などの豊かな自然の中、南部町から甲府市まで10区間12市町をつないだ。富士川町では12年ロンドン五輪陸上女子400メートルリレー出場の佐野夢加さん、甲府市では15年にノーベル生理学・医学賞受賞の大村智さんが走った。27日は64年東京五輪の聖火ランナーと98年長野五輪の聖火リレー併走に加え、夏冬通算3度目の聖火リレーに臨む落語家の三遊亭小遊三、プロレスラー武藤敬司、スピードスケートで冬季五輪5大会連続出場の岡崎朋美さんらが登場する。