東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)の論告求刑公判が15日、東京地裁で開かれた。東京地検は禁錮7年を求刑した。

被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(34)と父の上原義教さんは、この日、心情の意見陳述を行い公判後、会見を開いた。

19年4月19日の事故発生から2年3ケ月、20年10月8日の初公判から9ケ月の月日が流れた。その日々について聞かれた松永さんは「2年3ケ月…長いようであっという間。いろいろな活動もしてきたし…でも長かった。やっとここまで来た。9月(2日)の判決をしっかりと…心が今、乱れていますけど判決を待ちたい」と語った。その上で「ずっと最近、眠れなくて…前回の被告人質問、それ以外にもいろいろあって。8月、猶予があるので1回、自分の体と心と向き合う時間にして、正しい、公正な判決を待ちたい」と最近、眠れない状況だと明かした。

上原さんは「(事故からの月日は)あっという間というか…裁判に関しては長かった。人生においては、死ぬまで背負って歩かないといけない。休まる日はないと思う」と言い、目に涙を浮かべた。「人生を狂わされ、しっちゃかめっちゃかになった。酒を飲んで薬をのんでも眠れない…これが続くと思うと、つらい」と続けた。その上で「判決がどっちに転んでも喜べない。2人は帰ってこない。彼に判決を受け止め、判決に従って反省するため、刑務所に入って苦しい思いをしないと、彼の心をを変えることは出来ないと思う。人の心は裁判官でも変えきれないでしょうけど、そこに少し期待しながら判決を待っています」と語った。