藤井聡太王位(棋聖=19)が30日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第71期ALSOK杯王将戦2次予選で、石田直裕五段(32)を下した。午前10時から持ち時間各3時間で始まった対局は、先手の藤井が相掛かりから攻め合いを選択。午後4時54分、85手で快勝した。「向こうから動いてこられた局面は手が広く、難しいと思っていました。切り合いに行って、少ない攻め駒で攻めていけるか、常に際どいと思っていました。自玉の遠さを生かせた」と、終局後に振り返った。

現在、王位戦、叡王戦とタイトル戦を掛け持ちしている藤井は、前々期初めて挑戦者決定リーグ入りを果たした。4勝1敗同士の広瀬章人八段(34)と直接対決に敗れ、タイトル戦初登場を逃した。前期は初戦から羽生善治九段(50)豊島将之竜王(叡王=31)永瀬拓矢王座(28)に3連敗したのが尾を引き、初のリーグ陥落となった。今期は2次予選からのスタートで、3枠ある挑決リーグ入りを目指す。

これで2予決勝進出。8月16日、大阪市「関西将棋会館」で稲葉陽八段(32)と対戦する。今年6月の順位戦B級1組2回戦では敗れている。勝てば、渡辺明王将(名人・棋王=37)への挑戦権を争うリーグに復帰できる。「手ごわい相手ですが、思い切って指していければ」と気を引き締めていた。