菅義偉首相は23日、横浜市長選で全面支援した側近の前国家公安委員長小此木八郎氏(56)が惨敗したことについて「大変残念な結果でありましたが、市民の皆さんが新型コロナとか市政が抱えているさまざまな課題について判断されたわけですから、そこは謙虚に受け止めたい」と述べた。

記者団から「この結果を受けても総裁選出馬の意思は変わらないか」と問われると、「時期が来れば出馬させていただくのは当然だと話してきた。その考え方に変わりはありません」と改めて出馬の意向を示した。

コロナ対策など菅政権に対する信任投票となった市長選で、小此木氏は立憲民主党推薦の元横浜市立大教授山中竹春氏(48)に18万445票の大差をつけられ、秒殺された。首相の選挙区の神奈川2区(西区、南区、港南区)でも山中氏は6万8114票を獲得し、小此木氏の4万8653票を2万票近く上回った。首相に対し地元まで不信任を突きつけた形だけに、自民党の衝撃は大きく、「菅総理では戦えない」との不安が急速に広がっている。

菅首相は9月17日告示予定の総裁選前に解散する戦略を描いていたとされる。しかし、新型コロナの感染拡大で「針の穴を通すような日程」になり、総裁選を無投票再選で乗り切り、衆院選に臨むシナリオに切り替えたとみられている。しかし、菅政権への強い拒否感を示すような選挙結果に、自民党内では「派閥の数の力で再選される総裁選をやったとしても支持率は上がらない」と党員投票を含むフルスペックでの総裁選を望む声が高まっている。

今回、総裁選に出馬しない考えを明かしている石破茂元幹事長は「フルスペックの総裁選をやっていると、その間、恐らく政治は止まる。国民の理解が得られるとは思わない」と話した。総裁選を巡る党内の混乱、駆け引きが続いている。【中嶋文明】