ゴルフ熱が高騰している。火付け役となったのは今年4月、4大メジャーの1つ「マスターズ・トーナメント」を日本人で初めて制した松山英樹(29)だ。この優勝で使用するクラブやシャフトへの注目は高まり、今でも中古市場では品薄、欠品状態が続いている。また、6月には笹生優花(20)が「全米女子オープン」優勝。そして、稲見萌寧(22)の東京五輪銀メダル獲得も後押ししている。

将来の松山らを夢見る子どもたちや、それを後押しする親も増えている。東京・江戸川区で子供向けのゴルフスクール「キッズゴルフクラブ」を主宰するプロゴルファー今野一哉(38)は「松山プロの優勝以来、ゴルフへの興味をもった親御さんも多く、問い合わせは確実に増えている」と話す。

同スクールは22、23日、長野・サニーカントリークラブゴルフレンジで親子ゴルフ教室「キッズゴルフサマーキャンプ」を行った。300ヤードを誇るレンジでは親を対象にしたプロによるレッスン、アプローチ練習場にはスナッグゴルフのコースを設営し、子どもたちに体験させた。6ホールの練習ホールでは、親子で一緒に実際にラウンドできるようにした。「子どもたちが実際にゴルフコースを回るのはまだまだハードルが高いので、協力いただいたゴルフ場に感謝したい」とし、「こんな状況下で夏休みのイベントがほぼなくなる中、ゴルフは比較的安全性が高いとされているので、細心の注意の下、開催した」。実際、マスク等の輸入商社ナナプラスやアース製薬のスポンサードを受け、参加者には除菌スプレーなどを提供。スタッフもPCR検査を済ませての開催となった。

参加者の親世代は30~40台が中心。「ゴルフに興味をもってくれたのもうれしいけど、あんなに楽しそうにしているのを見るのは本当に久しぶり」と30代男性は言葉をかみしめた。参加した子どもたちからは「まだやりたい」「帰りたくない」「今度はいつやるの?」の声が上がり、大いに盛り上がった。

松山のように表舞台で華やかにスポットライトを浴びるプロもいれば、ゴルフ普及のために走り回るプロもいる。舞台こそ違うがゴルフ愛は変わらないはず。「ゴルフが野球やサッカーのように身近なスポーツになればそれでいい」。そう話す今野の目は輝いていた。今回の参加者の中に、将来のメジャーチャンピオンがいるかもしれない。