将棋の藤井聡太王位(棋聖=19)が史上最年少3冠となった。13日午前9時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第6期叡王戦5番勝負第5局で、午後6時22分、111手で豊島将之叡王(竜王=31)を下した。この結果、対戦成績を3勝2敗として叡王を初めて獲得。今年防衛した棋聖、王位と合わせ、叡王奪取で3冠達成となった。19歳1カ月での達成は、1993年(平5)1月に羽生善治現九段(50)が達成した22歳3カ月を大幅に更新する快挙でもある。終局後、藤井3冠が記者会見に応じた。一問一答は以下の通り。

-叡王戦を終えて

藤井 結果を残すことができた。タイトルを獲得したという実感はないです。自分にとって初めてフルセットになって勉強になるシリーズでした。

-朝、対局場に向かう時に考えていたことは

藤井 最終局ということは意識せず、ふだん通り臨めればと思いました。第4局が完敗でしたし、そういうことがないように1手1手しっかり考えようと思っていました。

-タイトル戦はこれで負けなしです。強みは

藤井 1つ負けても終わりではないので、その分のびのびと指せているところがあるのかなと思います。

-これで渡辺明名人と並んで3冠です

藤井 タイトル数自体は気にしていません。出る機会を多く得ることができ、得たものも大きかったです。

-終局後、どれだけやれるかと話していましたが

藤井 どこが最終目標とかは、現時点でありません。どこまで強くなれるかが大事なこと。記録よりそれを意識したいです。

-豊島さんに対する苦手意識はなくなったのですか

藤井 内容的に押されている局が多かったですし、盛り返したという意識はありません。今年の朝日杯で初めて勝ったことで、王位戦と叡王戦は落ち着いて臨めました。

-おやつの「コロコロしばちゃん」は?

藤井 見た目かわいらしくて、じっと見ていると食べるのが惜しくなってしまうので、すぐにおいしくいただきました。

-「25歳でピーク」とおっしゃっていますが、19歳で3冠を取ってあと6年です

藤井 25歳が絶対的なピークかどうかは分かりません。現時点でそういうイメージで取り組んでいけたら。日々の対局で見つかる課題を少しずつ改善していって、引き続き強くなることを目指していきたいです。

-羽生さん(羽生善治九段)は25歳で7冠全制覇を果たしました

藤井 現時点で意識することではありません。(全制覇は)1つの理想の形でしょうが、そのためには実力が今以上に必要になってきます。より実力を高めた上で、近づくのが理想でしょう。

-叡王を獲得して新たな盤上の景色は発見できたか?

藤井 王位戦、叡王戦と対戦する機会を得られて、得るものが多いシリーズだったかと思います。豊島先生には特に序、中盤の形の認識、その精度で差をつけられていました。改善して次につなげていきたいです。対戦するなかで、勉強して取り入れて行ければと思います。

-3冠は一時代を築いた名棋士ばかりです

藤井 自分自身の今後が問われる立場で、身の引き締まる思いです。責任感を感じる話ではないし、将棋は個人競技ですので、自分の将棋にしっかり向き合っていきたいです。意識せず、前を向いていけるのが一番いいです。

-叡王戦は、人間対コンピューターの「電王戦」が前身でした

藤井 今後、人間の方がコンピューターの長所を取り入れて、強くなっていくことを目指す段階だと思います。自分が体現できれば。

-竜王戦への抱負を

藤井 王位戦、叡王戦の経験と反省を生かして頑張っていきたいと思います。