自民党総裁選が10日告示され、立候補を表明している橋本竜太郎通産相(58)に対し、告示直前まで30人の推薦人確保に奔走した小泉純一郎元郵政相(53)が土壇場で名乗りを上げた。

小泉氏は、午前7時半から出馬表明会見を行った。睡眠不足からか目は真っ赤。小泉氏が主張する郵政事業民営化への抵抗感から30人確保が微妙な状況が続き、確保の見通しが立ったのは10日午前1時ごろだった。作業が難航したことに「違う意見を許さない自民党の最も悪い体質が出た。“小泉つぶし”の圧力が強まるほど、出なければという思いが強まった」。推薦人については「(郵政民営化の主張に)ほとんどが反対だが、話を聞こうという度量の広い人がいてくれた」と話した。

橋本氏との共同会見では「かつての旧経世会のような一勢力に党が支配されるのは避けたい」と、橋本陣営への中核・旧小渕派主導の党内運営に警告したり、郵政民営化や「総裁になったら、行財政改革、景気対策の問題で一致しないと連立政権解消も辞さない」と吠(ほ)え続けた。

小泉氏出馬で一応公選にはなったが、橋本氏優位は変わらない。政治評論家の浅川博忠氏は「小泉氏は、3ケタ支持を取れば大成功。100人を超えれば、もし負けても公選に持ち込んだ功労者という意味で、橋本氏は自分の幅の広さをアピールするためにも“小泉幹事長”を考えるべき」と指摘している。

公表された橋本、小泉両氏の推薦人リストによると、橋本氏陣営は、母体の旧小渕派に加え、旧三塚、渡辺、宮沢、河本の各派閥から集めた。一方の小泉氏陣営は、母体の旧三塚派が25人と中心で、旧宮沢派からは4人。