山梨県甲府市の住宅が全焼し、井上盛司さん夫妻とみられる遺体が見つかった事件で、夫婦の娘2人のうち次女の頭部を凶器で殴ったとして、山梨県警南甲府署捜査本部は13日、傷害の疑いで、甲府市の19歳少年を逮捕した。

捜査関係者によると、少年は逮捕容疑について「間違いない」と認めており、放火への関与をほのめかす発言もしている。顔にやけどを負い、水膨れになっていたほか、手にけがをしており、病院で治療を受けた。

逮捕容疑は、12日午前3時45分ごろ、甲府市の井上さん宅で、10代の娘2人のうち次女の頭部を凶器で殴り、打撲などのけがを負わせた疑い。凶器は刃物だった疑いがある。

捜査関係者によると、一家は夫妻と長女、次女の4人暮らし。事件当時、姉妹は2階で寝ていた。次女は「争う声と音を聞いて1階に降りたら知らない男がいた。2階に逃げる時に殴られた」などと証言している。長女が「泥棒に入られた」と110番通報した。姉妹は2階のベランダから飛び降りて逃げたという。

関係者によると、少年は、長女と同じ高校に通っていた。学校は取材に対し「個別の取材対応は行っていない」としている。

現場周辺は2階建ての家やアパート、ブドウ畑などが広がる住宅街。井上さん宅の近くに住む70代の男性は「(井上さん一家に)トラブルがあったようには見えなかった。若い人同士で何かあったのかな」と話した。別の70代の男性は「旦那さんはおとなしい人。奥さんは活発な人で、3月まで町内会の組長を務めていました。なぜ事件に巻き込まれたのか、わからない」と語った。

現場近くに住む30代会社員女性は、火災の様子について「火が高く上がっていて熱気がすごかった」と振り返った。全焼し、2階部分が焼け落ちた井上さん宅では13日、消防や警察が現場を調べていた。【沢田直人】