れいわ新選組の山本太郎代表(46)が、衆院選(31日投開票)公示日の19日、東京・新宿で第一声を発した。

午前11時すぎ、気温も上がらず冷気漂う新宿駅南口に、濃い茶色のジャケットに薄いストライプ柄のシャツ姿でしっかりと白いマスクをして壇上に登場した。

今回は比例東京ブロックでの選挙戦で当初宣言した東京8区での出馬も断念した。マイクを握るなり「今回は『山本太郎』はNGです。2枚目のピンク投票用紙にひらがな3文字で『れいわ』と書いてください。いいですか『山本太郎』はNGです」と大声で連呼した。

山本氏は「細かいことを言ってもしょうがないですね」と前置きして「私の目的はなんとかして国会議員になることが一番ではない。野党が力を合わせて消費税減税に近づくならば、そちらの方を優先させていただこう、という考え方です」と消費税の減税5%にするという野党共闘理念に乗ることと引き換えに比例区からの出馬をのんだことを明かした。

投票活動に興味を示さない層へのアプローチについて「ある意味で永遠の課題に近いものがあるかもしれません」と話して「まずは政治は変えられるんだ、と。この国のみなさんで50%あきらめている人たちが最大勢力である。その人たちが力を合わせると180度違う世の中をつくれる」と熱を込めて訴えた。そして「政治はただのパワーゲーム。そのパワーゲームに初めから参加しないというのは今回、やめてもらいたい。捨てるんだったら、こっちにちょうだい。一緒にやっていこう、という話ですね」と手ぶりを交えて声のトーンを高めた。

比例区での戦いで選挙区は持たないが、全国への行脚は考えていない。「全国の候補者にサービスしにいくようなことはしません。最大限のお人よしは見せましたから」と1段低い声で語り「私たちの小選挙区の候補者は40%降ろしています。全国隅々くまなく回っていくことは不可能です」と野党共闘に加担することで小選挙区の候補者を20人から12人に取り下げたことにも触れた。

さらに衆院選を前にトップを変えた自民党について「自民党の本気、というのが何がスゴいか、というのは権力だけは手放さない気迫なんです」と話し「今回何が起こったか、というと、今の総理のままじゃ勝てないね、クビにしようぜという力量が働いた、ということです」と話した。その自民党の姿勢について「私、はっきりいって、それ、リスペクトします。尊敬します。で、スゴいですね。総理大臣のクビを飛ばしてまででも選挙に挑むというこの気迫」と話してから「野党側が勝てているかというと、私、まだエネルギーがそこまで出せていないと思います。本気出せよ、その先頭に立ちたいのが、れいわ新選組です」と声高に言い放った。

さらには岸田首相にも言及し「経験以外ではすべて勝っていると思いますね。経済政策では圧倒的に私たちです。全然分かってません、あの人」と岸田氏の経済政策をチクリ。「所得倍増とか、金融所得という部分に関して課税するということを引っ込めましたよね。これ、自民党の常とう手段。選挙前にはTPP反対、その後どうなりました。選挙終わって政権握ってTPP、全力で推進していましたよね。選挙の前だけいろんなものをアナウンスし続けて、あとでちゃぶ台返しというのは彼らの常とう手段ですから」と過去の自民党の政権運営を非難した。

その上で「そういった意味で岸田さんに対して、私が勝っているところは何かと言ったら、なぜ政治をやっているか。誰のために政治をやっているか、ということ」と語気を強め、続けて「経済政策、この国の本当に社会にお金が回って人びとの生活、使えるお金が増えていくという意味での経済政策を打てるか。そういう中身で考えていければ100%わたしたちれいわ新選組が勝っている」と岸田氏への批判は止まらなかった。

最後に他党からの選挙応援については「今回は選挙前にすいぶんわたしたち譲ってますから」として「他党と一緒に街宣をやるという形になった場合には『比例はれいわ』は絶対に言いますよ」と話し「比例はれいわ、これ当たり前ですね。ピンクの投票用紙にはひらがなで3文字「れいわ」でお願いします」と話して街宣車に乗り込んだ。【寺沢卓】