衆院選は残り1週間となり、ラストサンデーの24日、各地で街頭活動が熱気を帯びた。東京屈指の激戦区東京5区は自民党の若宮健嗣万博担当相、立憲民主党の手塚仁雄氏による事実上の一騎打ちで拮抗(きっこう)。現役閣僚の落選阻止へ安倍晋三元首相ら大物幹部が応援に駆けつけた。大阪10区は前回選に続き「自民VS立憲VS維新」という大阪独自の三つどもえの激戦区。立民前職の辻元清美氏の応援に入った元文部科学省事務次官の前川喜平氏(66)が「安倍政治」を切り捨てた。

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大激戦区がさらにヒートアップしている。現職閣僚の若宮氏と、ライバル手塚氏、日本維新の会の新人田淵正文氏が立候補したが、事実上の若宮氏対手塚氏の拮抗(きっこう)する一騎打ちだ。情勢一変へ、自民党は若宮氏の応援に安倍晋三元首相、茂木敏充外相ら大物を投入。安倍氏は東京・三軒茶屋駅前で沿道を埋めた聴衆を前に危機感をあらわにした。「大変な接戦になっている。明日にでも投票所に行って若宮さんに一票を投じていただきたい。お友達やお父さん、お母さん、ご主人や奥さんや、子どもたちを連れて。また恋人も連れて、昔の恋人も探し出して、どうか投票所に足を運んでいただきたい」と、ウケ狙いも交えて訴えた。

若宮、手塚両氏は同区で4度目の対決となる。前回2017年の衆院選は若宮氏が約2100票の僅差で制し、手塚氏は比例復活。14年、12年もいずれも若宮氏が制し、手塚氏は落選。これまで若宮氏の3戦全勝だが、今回は情勢が違う。

5選を目指す若宮氏は大臣就任で「知名度が格段にアップした」(若宮陣営)とするが、一方で公務優先のため、平日の選挙活動は午前8時~9時台、午後は夕方以降が中心となり、街頭での活動量が減少した。

ライバルに対し、手塚氏は野党統一候補として追い風を受ける。手塚氏は7月の都議選でも党幹部として野党共闘を主導し、「手応えがある」(手塚陣営)。若宮氏とは対照的な「どぶ板作戦」を積極的に展開。手塚氏はこの日も駅頭で自ら、約300枚のビラを1時間半ほどで配布し、「10回目の選挙戦ですが、短時間で、これだけ手渡しをしたのは初めて」と手応えを口にした。 【大上悟】