東京8区は野党統一候補となった立憲民主党の新人吉田晴美氏(49)が、同区で10回連続当選を果たしてきた自民党の石原伸晃氏(64)を破り、初当選が確実になった。17年の前回は2万3000票差をつけられたが、リベンジした。支持者らが集まった事務所に姿を見せた吉田氏は「みなさまの期待に応える国会議員になっていきたい」と目を潤ませて抱負を語った。

    ◇    ◇    ◇

同区では野党統一候補の人選が最後までもつれ、ドタバタ劇を繰り広げた。れいわ新選組の山本太郎代表が1度は同区からの出馬を表明。しかし、密室での決定への批判や周辺への根回しの遅れなどがあり、吉田氏の支援者らからは困惑や怒りの声が上がった。最終的には山本氏が比例代表東京ブロックに回り、共産党も候補者を降ろし、公示直前に吉田氏が野党統一候補に。雨降って地固まるとなり、選挙戦では山本氏が吉田氏の応援に入るなど、野党統一の象徴的な選挙区となった。

相手が派閥の領袖で元幹事長の大物とあって、枝野幸男代表や福山哲郎幹事長ら、立憲幹部が続々と応援に入った。選挙戦最終日には、蓮舫代表代行が入り「相手は数ある政治家のなかでも名字にブランドがつく人。知名度がある大きな政治家ですが、野党の力を結集し、この9年間の安倍、菅、岸田政権がおかしいと、声をあげれば、どんなブランド力も破壊できる」と吉田氏への支援を連呼した。

吉田氏は立大卒業後、英国立バーミンガム大学大学院でMBAを取得。投資、証券会社に勤務した後、小川敏夫法務相の秘書官を務めたことをきっかけに政界へ。前回、東京8区から立憲民主党公認で立候補し、7万8000票も集めるも、比例復活はならなかった。娘がASD(自閉症スペクトラム障がい)であることも公表している。支援者の中にはシングルマザーも多く「吉田さんはいつも声をかけてくれて、いつも気にかけてくれる」などと語っていた。