米大リーグ、エンゼルス大谷翔平投手(27)と心臓病の赤ちゃん「翔平ちゃん」との交流などをつづった「翔平選手と翔平ちゃん 奇跡のキャッチボール」(光文社)が2日に発売される。著者は翔平ちゃんの母・川崎静葉さん。大谷選手が大阪の病院を見舞いに訪れた際の心温まるエピソードや後日談などをつづっている。

17年6月13日に生まれた翔平ちゃんは、おなかの中にいる時に心臓に重度の障がいが見つかった。静葉さんは不安を抱えながらも「病気に負けず、大きな志を持ち、大きな心で育ち、大谷選手のように世界を翔(か)ける子になってほしい」との願いを込めて「翔平」と命名。死産もあり得ると医師から言われており、無事に生まれた際のことを「名前が赤ちゃんに力を与えてくれたのでしょうか」と振り返っている。

「2人の翔平」の対面は19年1月。右肘靱帯(じんたい)損傷の修復手術を受け、日本でリハビリをしていた大谷が翔平ちゃんのいる大阪を訪れた。約1時間の交流で、多くのチューブにつながれた翔平ちゃんを抱っこした大谷は「あったかいね…」とつぶやき、サインボールをプレゼント。そのボールで小さなキャッチボールまでしてみせた。静葉さんは「私たち夫婦にとってもこの1時間は大事な宝物になった」と記している。

大谷の見舞いが新聞やテレビなどで広く報じられたことなどで、渡米手術を目標とした募金額3億5000万円は見舞いから19日後に達成。だが、翔平ちゃんは1年8カ月の短い生涯を渡米前に終え、募金は2人の幼い少女の命を救うことに使われた。

大谷選手のことを「川崎家の大恩人」と呼ぶ静葉さんは「今も私たちにとって息子の翔平が生きていたことを証明してくれる存在です」と感謝している。

著書の印税の一部は心臓移植を待つ子どもたちを支援する団体に寄付される。

 

小さな翔平を笑顔で包み込んでくれた/川崎翔平ちゃん両親のコメント全文―>

19年1月大谷翔平が翔平ちゃんをお見舞い/翔平選手と翔平ちゃん経緯―>