5日に豊洲市場(東京・江東区)の生マグロの初競りで1キロ当たりの最高値となる“一番マグロ”を落とした築地の仲卸「やま幸(ゆき)」の山口幸隆社長(59)は「いや~、今回はコロナから普通の生活に戻るきっかけになってほしくて、明るい話題になるから絶対一番マグロを落としたかった。(午前)2時まで寝られなかったもんね」と話し「ホッとしたよ」とキロ単価8万円、211キロのホンマグロを1688万円で競り落とせたことで安堵(あんど)の表情を見せた。

30日に大間港「第38大運丸」が捕獲したが山口社長は「30日と時間は経過しているけど、よくここで(脂乗りが)止まっている。魚体も含めていいマグロですよ」と評し「マグロで億単位になるようなことはあまり好きじゃない。8万円ならご祝儀としても適正でしょ」と話した。

買い取ったミシュラン星付き「おのでら」の長尾真司社長(42)は、昨年10月にオープンしたばかりの表参道(東京・渋谷区)の回転すし専門店で解体ショーを行い「特別料金ではなく、赤身と中トロの各1貫の2貫セット、1040円で食べていただく」と話した。

2年前まで一番マグロを落札してきた築地喜代村すしざんまいは、大間産の173キロをキロ単価6万円の“二番マグロ”で1038万円の落札額だった。すしざんまいは昨年から一番マグロの競りには参加しない方針を打ち出していた。ただ、一番マグロを競り場で眺めていた「マグロ大王」こと木村清社長(69)は部下の競り人に、競りに参加しないことについて「しのびないなぁ」とポツリとつぶやいていたという。