15日午前8時半ごろ、大学入学共通テストの会場の東大キャンパス近くで受験生2人と70代男性が刃物のようなもので襲われた。警視庁によると、現場近くで少年を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。愛知県名古屋市の17歳の高校生だという。

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事件が発生した東大の農正門付近では15日朝から警察や消防のサイレンが鳴り響いた。

東大の農正門は東京メトロ南北線が通る東大前駅から徒歩約1分。普段は農学部の学生などが利用する。この日は大学入学共通テストの初日。午前9時半から予定通り行われたが、多くの受験生が不安を抱えながら会場に向かっていった。

現場近くは警察によって規制線が張られ、受験生や大学関係者以外出入りができないようになっていた。捜査が進められ午後2時半ごろ、規制が解除された。現場近くのバス停や点字ブロックには、生々しい血痕のようなものがあり、警察が洗い流した跡が残っていた。

現場近くの商店の80代男性によると事件の一部様子をみたといい「1人は門の中の敷地内で倒れていた。もう1人は若く黒い格好をした男で門の前にもたれかかって、無気力な感じで座っていた。警察に『どこから来たんだ』と大きな声で聴かれても男は何も答える様子がなかった」と語った。門にもたれかかっていた若い男はその後、警察官に連れていかれたという。

初日の受験を終えた受験生からは動揺の声が上がった。都内に住む男子学生は「朝、担架で運ばれている人を見て、警察や消防の人が騒がしくて何だろうと思っていた。その後に刺されたというニュースをみてすごく怖いと思った」と話した。別の男子学生は「交番に70代くらいの男性がいて、左手から血を流していたのを見た」。受験生へ影響も大きく「試験中動揺して落ち着くまで時間がかかりました」と話す男子学生もいた。事件をニュースで知ったという大学院2年の男子学生は「普段利用しているキャンパスでこんな事件が起きて不安です」と語った。【沢田直人】