ジャーナリストの伊藤詩織さん(32)が、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(55)から性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審で、東京高裁(中山孝雄裁判長)は25日、1審の東京地裁判決を変更し、賠償金を330万円から約332万円に増額する判決を言い渡した。

一方で、伊藤さんの17年の著書「Black Box」などでデートレイプドラッグを使われた可能性があるとされたことで名誉を傷つけられたとして、1億3000万円の損害賠償を求めた山口氏の反訴について、真実性が認められず名誉毀損(きそん)に当たると判断。請求を棄却した1審判決を破棄し伊藤さんに55万円の支払いを命じた。

判決によると、伊藤さんは15年4月に就職先の紹介を受けるため山口氏と会食、飲酒した際に意識を失いホテルで性行為をされた。伊藤さんは準強姦(ごうかん、当時)容疑で警視庁に被害届を提出も、東京地検は16年7月に嫌疑不十分で不起訴とし、検察審査会も不起訴相当と議決した。

伊藤さんは都内で会見を開き「少しずつ変わってきたと感じますが、法律が変わらないと何も変わらない」と訴えた。山口氏の反訴の一部が認められたことについては「(デートレイプドラッグは)本にも確定しないけれど、そう思うと書いた。表現によって受け取り方が一方的になってしまったのかという判断と受け止めています」と語った。一方、山口氏も会見を開き「判決には全体として大いに不満がある」と話した。