厚労省は18日、宮城県と福島県で最大震度6強を観測した地震の影響により、午前11時半時点で約4万3000戸が断水していると発表した。宮城県では大崎市、角田市、栗原市、美里町、涌谷町、山元町の計3万210戸。福島県が相馬市、南相馬市、新地町で計1万3400戸。断水中でも片付け作業に追われる被災地に雪の寒波も襲った。

震度6強だった南相馬市では、断水を免れたホテルや施設などを営む7つの企業が、「お風呂支援」で同じ被災者の心身を癒やした。浴室やシャワーを無償提供。男女大浴場を有するビジネスホテル高見などで、数多くが利用した。

同じく震度6強だった相馬市在住の管野美代子さん(67)は親族4人で訪れ、「ベランダの窓も外れてしまって寒かったので、本当に気持ち良かったし、ありがたい」と感謝した。次女容子さん(40)は自宅アパートで購入直後のテレビなどが落下して壊れ、深夜の避難時は運転中に倒れてきた物が車体を直撃しライトが破損。出費も悩みだけに「無料というのは、みなさん助かっていると思う」。孫の颯斗くん(9)は入浴後、いとこの大芽くん(7)を含めた4人でアイスも味わい、「家では(安全のために)テーブルの下に布団を敷いて寝ている。部屋はグチャグチャだけど、お風呂入って、アイス食べて、気分はハワイアン~」とおどけるほど、少しだけ気分が晴れた様子だった。

ホテル高見では11年東日本大震災や、19年の台風、昨年2月の地震時などにも提供した。岡和田直之マネジャー(50)は「サービス業をしている立場として『温まったよ~』『ホッとした』という声を聞くと、やって良かったなと思う」。自宅の屋根瓦が落ち、シートで応急処置をしてきた南相馬市の男性も「最高だった。雪が降ってるけれど、これでもう少しがんばれっぺ」。老若男女の温かな笑顔があふれていた。【鎌田直秀】

○…福島県の内堀雅雄知事(57)が18日、相馬市の避難所の1つ「スポーツアリーナそうま第二体育館」を訪問し、避難者に「ご苦労はあると思いますが、お体を大切に頑張ってください」などと声をかけた。

対面した渡辺愛子さん(88)は、「いつもテレビで見ていてイケメンだった。感動します」。3カ月前に夫を亡くしたばかりで「ようやく1人暮らしになれてきたところだった。11年前も家の玄関や階段を直したのに、また同じところが傾いてしまったんです」。当初は市内の次男宅に避難したが「息子にも仕事があるので…。私もここで1人で悠々と。けっこう快適です」。今後は都内の長女宅で過ごすことも検討している。同所には140人が避難していたが、現在は69人が滞在している。