世界の危険生物を見て、聞いて、食べて、学ぼう! 「カワスイ川崎水族館」(川崎市)がKADOKAWA(本社・東京都千代田区)発行の「角川の集める図鑑GET!」とコラボする「世界の危険生物展」が22日から開催される。

21日、カワスイで報道陣に先行公開され、説明役を務めた担当者は「カワスイ初の海水魚の生きものもいますし、虫もいる。世界中の危険生物を楽しみながら、顔や歯、色などを見て、『だから危険なんだ』と分かりやすいことが今回の企画展」。さまざまな「危険」要素を持つ生物の特徴を知るなど、子供から大人まで楽しく学べるイベントを強調した。

「海のボクサー」の異名を持つ甲殻類の「モンハナシャコ」は、彩りも豊かで、ド派手なボクシングパンツをはいているかのようだ。約80キロとされる強力な高速パンチが武器で天敵はなし。足の先の“拳”は真っ赤で大きく、ボクシンググローブそのもの。「カニの甲羅やアサリを割ったりして食べるんです」。臆病な性格で、“観客”は多いと隠れてしまうほど臆病な性格だが、いざという時の攻撃力は一見の価値ありだ。

「海のギャング」と呼ばれるのは、なじみのある「ウツボ」。ウナギの仲間だが、魚などを捕まえるためのあごと、獲物を食べるためのあごの「2段階」で恐れられている。「ピラニア・ピラヤ」は50センチ以上に成長する大型のピラニアで、鋭い歯と強いあごが特徴で、自分より大きな獲物を襲うこともある。

「モウドクフキヤガエル」は小柄ながら、ヤドクガエルの中でももっとも強力な毒性を持っている。皮膚から出す毒液は1匹分の毒で10人が死に及んでしまうほど。「生物界最強の毒とも言われています」。不気味さも感じる黄色い体は、要注意の信号か。東南アジアに生息するチャグロサソリも毒性があり、アマミサソリモドキは危険を感じると尾部から酢酸性の液体を出す。展示ブースには酢酸性の臭いを体験出来るコーナーもあり、濃度の濃い「酢」のような臭いで、鼻にツーンと刺激がくる。

日本の身近な場所にも危険生物は潜んでいる。カワスイの担当者が多摩川上中流域で捕獲した「アカザ」「ギバチ」はナマズの仲間だ。ともに、胸ビレと背ビレに毒を持つ。「身近にも危ない生物はいるんですよね。そういうこともお伝えしたいです」。期間中の土曜日限定(午後5時開始)で、「危険生物エリアガイドツアー」も開催される。

館内の「こもれびカフェ」では、危険? な飲食メニューも登場した。耳の後ろから約30センチの毒を飛ばすイモリの仲間「ファイアサラマンダー」をモチーフにした「ファイアサラマンダーカレー」(税込み1400円)は、黄色と黒色の体色そのもの。シルエットをかたどったチーズがのり、黒いカレーは竹炭パウダー入りだ。「モンハナシャコのビネガーソーダ」(同550円)も、鮮やかな体の色を再現した。メロンシロップとザクロフレーバーに、炭酸入り。メニュー考案者は「モンハナシャコのパンチ力を炭酸の強さで表現しました」と説明。上部に添えられたイチゴやベリーは、キョロキョロ動く瞳に見立てた。「CAFE CRAM」では、アカハライモリとモウドクフキヤガエルをイメージした「カラフルソーダ」(同450)も販売される。

危険生物は全12種。オリジナルサラマンダーづくり体験(土日祝日限定、同600円)や、無料のぬりえや、クイズも楽しめる。期間は22年6月30日まで。【鎌田直秀】