米MLBで好調のカブス鈴木誠也(27)の生まれ故郷、東京・荒川区の町屋でお宝が発掘された。

鈴木の実家は京成電鉄の高架下にあった「喫茶マチヤ」。2011年に線路の耐震構造強化の一環で取り壊され、今は残っていない。その喫茶マチヤの描かれた木版画絵が出てきたのだ。所有していたのは、テレビ東京系の人気番組「開運!なんでも鑑定団」にも出演し、町屋のスポーツ関連のグッズショップ「流体力学」を経営する前野重雄さんだ。

喫茶マチヤは鈴木の祖父が開業して鈴木の父親が継いだ店。小学生の頃から店横の空き地で父親と野球の特訓に明け暮れ、さらに、都電町屋駅から喫茶マチヤまでの路地約200メートルを都電と競走していた逸話も残る、今の鈴木の土台をつくった「聖地」である。過去のインタビューなどで鈴木は、喫茶マチヤで毎日食べていたしょうが焼き定食を好物に挙げていた。

前野さんは野球選手のバットやグラブ、サインボールなどの鑑定で知られているが、個人的には木版画絵の収集家でもある。この絵は木版画職人の川嶋秀勝さんの作品で「町屋ガード」というタイトルがついていて、鈴木が生まれる6年前の1988年10月にできたもの。川嶋さんは荒川区が認定した職工「荒川マイスター」の1人。完成した木版画絵は荒川区と前野さんとあと1枚しか現存せず、色刷りした木版も処分されており、2度と絵を刷れないこともあって、価値は高そうだ。

前野さんは「この絵を8年前に川嶋さんから譲り受けたとき、この喫茶店は鈴木誠也の父親が経営していて、子どもの頃の誠也も毎日のように顔を出していた場所、と教えてもらった」と解説し「誠也がこれだけ活躍しなければこの木版画絵のことは思い出さなかった」と話した。

前野さんにちょっといじわるな質問をしてみた。さあ、おいくらでしょう? 「売るつもりで手に入れたものではないから…鑑定士としては判断に困るなぁ…申し訳ないけど値はつけられません」と苦笑いしていた。【寺沢卓】