経歴に関する疑惑を紹介したユーチューブ動画を引用リツイートしたことで名誉を傷つけられたとして、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長(58)が、お笑いコンビ「浅草キッド」の水道橋博士(59)に550万円の支払いを求める訴訟の第1回口頭弁論が30日、大阪地裁で開かれた。

松井氏の訴状によると、水道橋博士が2月にユーチューブ動画の「維新の闇、パワハラ、傷害事件、裏口入学、強姦(ごうかん)疑惑……経歴ヤバすぎ」と記載されたサムネイルを引用した上で、SNSの自身のツイッターに「これは下調べが凄いですね。知らなかったことが多いです。維新の人たち&支持者は事実でないなら今すぐ訴えるべきだと思いますよ(笑)」と投稿し、事実であるかのような印象を一般読者に与えたとしている。

この日、出廷した水道橋博士は最後に松井氏側の弁護団に向かって「松井一郎さんはいらしゃってますか? (みなさんが)マスクをしているので、よく分からないのですが……」と発言。松井氏は出廷しておらず、傍聴席からは“ツッコミ”に失笑が漏れた。

今回の訴訟について行政や大企業などが個人の言論を封じるために威圧目的で起こす「スラップ訴訟」と主張する水道橋博士は閉廷後、松井氏の出廷ついて発言したことについて「彼らはやりっぱなし。法廷に出てくることはない。スラップ訴訟で苦しんでいる人をたくさん知っている」と強調した。

大阪市内で会見した水道橋博士は「訴えられたことがないので、心臓がバクバクしています。スラップ訴訟は相手に大きなダメージを与える。僕自身、恐怖を覚えた」と訴えた。

水道橋博士の弁護人の米山隆一弁護士は「政治家なので、こうした批判は受け入れるべきではないのか。名誉毀損(きそん)には至らない」と主張した。