岸田文雄首相(64)が19日、都内で「あしたのジョー」のちばてつや氏(83)「アリエスの乙女たち」の里中満智子氏(74)「島耕作」シリーズの弘兼憲史氏(74)ら人気漫画家と車座対話を行った。22日公示、7月10日投開票の参院選に自民党から比例代表に立候補予定の漫画家赤松健氏(53)が進行役を務めた。

岸田首相は外相時代の経験ももとに「海外の日本語を勉強している方の多くが漫画、アニメがきっかけ」と指摘。「国と国の外交、国際平和にもつながる。政治の立場からも盛り上げていきたい」と意気込んだ。首相は今月下旬にドイツで開催される先進国首脳会議(G7サミット)に出席する予定。フランスのマクロン大統領は東京五輪で来日時に日本の漫画家との対面を熱望したほどの漫画好きだ。コスプレをきっかけに漫画家となった一本木蛮氏(57)から「岸田さんもコスプレを…」の声がかかると「コスプレを含めて、漫画文化の話をしたい。漫画外交、アニメ友好の大きな流れも大切に出来れば」と語った。

ちば氏と「はじめの一歩」の森川ジョージ氏(56)から即興で主人公を描いたボクシンググローブをプレゼントされた首相は「すごい、新旧代表作」と大喜び。米国在住だった小学生時に日本から「週刊少年マガジン」を送ってもらうほどの愛好家だったと明かし「漫画は卒業しない文化になった。大人になっても総理大臣になっても一生懸命読んでいる」。赤松氏から最近読んだ漫画を問われ「鬼滅の刃を全巻読んだ」とアピールした。

ちば氏からは岸田氏に、漫画を含めた平和を求めた。6歳の時に終戦し、約1年かけて中国から帰国。「焼け野原で大変な光景だった」と当時を振り返った。「77年たってみて、日本の子どもたちに元気がなくなって、自殺者も増えている」とコロナ禍を含めた世の中に懸念を抱いた。「国を挙げて、若者が希望を持てる国にしてほしい」と懇願。自身は昨年に心臓やのどの病気を乗り越えたが、「漫画を通じて世界中の子どもたちに元気を与えたい」と力強かった。【鎌田直秀】