藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)が永瀬拓矢王座(29)の挑戦を初めて受ける、将棋の「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局」が4日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われる。決戦を翌日に控えた3日、両対局者は現地入り。対局場の検分の後、約150人のファンの前で開幕式に臨んだ。

1勝1敗で迎えた、改めての「3番勝負」。勝てばV3まであと1勝、負ければかど番に追い込まれて後がなくなる上、タイトル戦の途中で初めて黒星が先行してしまう。結果次第で大違いだ。藤井は「大事な1局。ペースを乱さないようにやっていければ」と自らに言い聞かせるように話した。

前局の6月29日、藤井は王位戦7番勝負第1局で豊島将之九段(33)に敗れた。こちらは昨年同様、黒星スタートとなった。「状態は問題ありません。しっかり休めています」と、体調十分で臨める。対する永瀬は、「厳しい戦いになりますが、しがみついていきたい」と話した。その粘りが怖い。

一昨年の棋聖戦で藤井は史上最年少でタイトル戦に初登場。18歳を迎える3日前の7月16日、史上最年少で初タイトルを獲得した。昨年は同じ場所で第1局が開催されたが、木更津初見参で勝利をつかんだ。ちょうど1年前の第3局での、最年少(18歳11カ月)のタイトル初防衛と九段昇段につなげた。今回は宿敵を振り切り、防衛への大きな1勝を目指す。【赤塚辰浩】

 

【対局VTR】

◆第1局(6月3日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」) 藤井先手でスタートした開幕局は千日手が成立。先手後手を入れ替えての指し直し局も、やはり千日手。後手の永瀬が再指し直し局を114手で制し、先勝。

◆第2局(6月15日、新潟区西蒲区「高志の宿 高島屋」) 角換わり腰掛け銀から攻め合いに。優劣不明のまま迎えた終盤の116手目、後手藤井が退路封鎖の後手9七銀から冷静に寄せて138手で勝ち、対戦成績を1勝1敗とした。