将棋の女性初の棋士を目指し、プロ棋士編入試験を受験することを表明した里見香奈女流4冠(30=女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花)が6日、大阪市内で会見し、意気込みを語った。

「目の前の対局を全力でこなしていたので、あまり考える余裕がなかったが、挑戦してみたいという気持ちが出てきた」

里見は5月27日の公式戦に勝利し、プロ棋士相手の直近公式戦成績を10勝4敗とし、プロ編入試験を受けるのに必要な「最近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上」の条件を満たし、女性で初めて受験資格を獲得。6月24日に受験を申し込み、連盟が受理した。

編入試験は新人の棋士5人と対戦、3勝で合格となる。将棋のプロは棋士と女流棋士がいて制度が異なり、棋士になるには養成機関の奨励会を卒業するか、編入試験合格が条件。これまで棋士は男性しかおらず、里見が合格すれば、史上初の女性の棋士が誕生する。

女流棋士として活躍する一方で、奨励会最高段位の三段まで昇段したが、18年に年齢制限のため退会した。「当時は棋士になることだけを考えていた。いまはそうではなく、自分がどれだけやれるのか。自分の棋力向上を目指し、強い人と戦いたいと思うようになった」と話した。

現行制度の受験者は今泉健司五段(48)、折田翔吾四段(32)に続いて3人目で、過去2人はいずれも合格。8月から1カ月に1対局行われ、第1局は4月にプロとなった徳田拳士四段(24)に決まった。合格後は女流棋戦にも継続して出場ができる。

合格した場合、女流棋士としての活動について「まだ現実になったわけではない。そうなってから考えたい」とした。

里見は島根県出雲市出身。女流タイトル獲得は最多の48期を誇る。終盤の鋭さから「出雲のイナズマ」と呼ばれる。

【里見香奈女流4冠編入試験5番勝負】

◆第1局 徳田拳士四段(24)

◆第2局 岡部怜央四段(23)

◆第3局 狩山幹生四段(20)

◆第4局 横山友紀四段(22)

◆第5局 高田明浩四段(20)

※3勝で合格。8月以降、1カ月に1局のペースで対戦。対局期日と場所は後日発表される