前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏(73)が8日、電話取材に応じ、安倍晋三元首相が奈良市内で遊説中に背後から撃たれた事件の警備体制について言及した。背後を警戒していたSPがいなかったように見えたことから「銃対応のシフトになっていなかったのでは」などと述べた。

自身も今回の現場と同所で演説した経験があるという舛添氏は「現場の全てを見てはいないので、言い切ることはできないが」と前置きした上で「今回現場にいたSPはみんな前方や安倍さんのほうばかりを見て、誰も背後に気を配っていなかったのではないか」と指摘。「聴衆は前後360度にいる。安倍さんと背中合わせになって周囲を気にしているSPがいたようには見えなかった」とした。

また「日本は銃社会ではないので、SPも銃への対応より、どちらかというとナイフなど刃物への防御が主になる」と解説。その上で「遠くからライフルなどの銃撃ではなすすべがない部分もあるが、至近距離であればSPが盾になってでも要人を守るように教わっているはず。特に今回は1発目の銃弾の時点ですぐに対応し、犯人を取り押さえたり、少しでも狙いを外したりすることができていれば、命が助かっていたかもしれない」と悔やんだ。

さらに「今のような警備のままでは、街頭演説自体が難しくなるのではないか。また同じことが起こってしまうかもしれない」と懸念を示した。銃社会の米国を例に出し「アメリカのように、入場者にボディーチェックを課した上でホールや公民館、体育館などで演説するのも1つの方法だと思う」と提言した。

07年第1次安倍改造内閣では厚労相を務めた。凶行を受けてあらためて「痛恨の極み。残念です。テロは民主主義の敵」と訴えた。【横山慧】

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