送迎バスに女児が取り残されて死亡した静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の増田立義理事長兼園長(73)が7日、同園で記者会見した。冒頭、「亡くなった園児、ご遺族に心よりおわび申し上げる。安全管理ができていなかった。原因の究明に努める」と陳謝した。

ダークスーツに黒ネクタイ姿で会見したが、時折苦笑しているような表情ものぞいた。死亡した川本千奈(ちな)ちゃん(3)の名前を、「ちなつちゃん」と何度も言い間違えた。

会見では、送迎バスから園児を降ろす際の確認について問われた。同席した杉本智子副園長(58)は、「乗降時の確認にルールがなかった」「取り残された園児がいないか2人以上で車内を確認しなかった」「クラス補助が規定の時刻より早く登園管理システムの画面を確認した」「担任は女児の不在を把握していたが、保護者に連絡しなかった」の4つのミスが重なったと説明した。システムにはその後、園児計6人についてまとめて「登園」と入力された。

当日はいつもの運転手が休みだったため、ハンドルを握った増田園長は「やむなくハンドルを握った。たまたま起きてしまった」などと説明。園児の降車確認も、「後ろを見ずに運行記録に目がいった。次の用事があって焦っていた。同乗していた70代の女性派遣社員に任せてしまった」という。

昨年、福岡県で同様の事件が起きた。園ではその後に朝礼で徹底したり、職員に書面を配るなどして注意喚起していたという。最高責任者であるはずの園長らが、注意を怠った形となった。

会見で車内に取り残した原因などを問われ続けた増田園長は、「睡眠不足」「年齢」「私も人間なので」「混乱している」などと弁解に終始した。遺族から「廃園」を要請されたことも明らかにしたが、これについては「県や市の特別監査の後に判断を待つ」と保留した。後任が決まり次第、理事長と園長を辞任するとも話した。

会見は約2時間40分にわたった。最後に発言の機会を求め「これから、いい園を…」と言いかけた。同席した弁護士が横から「園を続けるか決まっていない」と制止すると、「廃園になっているかもしれないね」などと語った。

県警は園が安全管理を怠ったとみて、業務上過失致死容疑で調べている。