将棋の最年少5冠、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が12日、名古屋市の名古屋将棋対局場で指された第81期順位戦A級3回戦で、糸谷哲郎八段(33)を113手で破り、今期成績2勝1敗とし、最年少名人獲得に前進した。

戦型は「横歩取り」。後手の糸谷が誘導するかたちとなり、夕食休憩まで39手とゆっくりとしたペースで進んだ。横歩取りは事前の研究が生きれば、後手が有利に戦えることもある。

夕食休憩後も駒組みが続いたが、難解な終盤戦で藤井の形勢が悪くなる局面もあったが、最後は持ち前の終盤力で寄せきった。

終局後、藤井は激しい攻防に「少し負けそうかなと思ったけど、他の手も分からなかったので、指し進めていた」と振り返った。

順位戦最上位のA級は10人が総当たりで、挑戦権を懸けて争う。今期、藤井が挑戦権を獲得し、来年4~6月に開催予定の名人戦で渡辺名人から名人位を奪取すれば、谷川浩司17世永世名人の21歳2カ月の史上最年少名人獲得記録を更新する。

白星先行となり、次局は斎藤慎太郎八段と対戦する。「ここまで中盤でミスが出てしまっている将棋が多いので、修正していけたらと思います」と話した。