石油元売り最大手ENEOSホールディングス(エネオスHD)は21日、杉森務元会長グループ最高経営責任者(CEO)が8月12日に突然辞任した理由について、女性への「不適切な言動」だったと明らかにした。これまでは一身上の都合としていたが、この日、辞任の理由をめぐって、週刊新潮のウェブサイトが、杉森元会長が7月に那覇市の飲食店で女性従業員に対してセクハラ行為を行い、女性がけがをしたなどと報じた。

報道を受けて、エネオスHDはホームページで「当社元会長に関する一部報道について」との文書を発表。「人権尊重、コンプライアンス徹底を経営の最優先事項と位置づけているにもかかわらず、元会長自らがこれに背く行為を行った」とし、「被害を受けられた方から一報を受けた後、事実関係の調査を行い、元会長が不適切な言動に及んだと判断し、社長から辞任を求めました」と説明。被害者らに謝罪した。当初、辞任の理由を説明しなかったことについては「被害を受けられた方のプライバシー保護を最優先とし、辞任の背景についての言及を控えておりました」としている。

エネオスHDの広報担当者は、日刊スポーツの取材に「被害に遭われた方の代理人弁護士から申し出を受けて調査を行い、元会長の聞き取りもして調査が完了したのが、8月初旬。その後、社長から元会長に辞任勧告をした」などと説明した。

杉森元会長は、20年6月の社名変更とともに、エネオスHD会長グループCEOに就任。今年6月28日の株主総会で再任されたばかりだった。8月には中核のENEOSの代表取締役や、石油連盟会長や経団連の役職など外部の公職もすべて辞任している。

 

【ENEOSホールディングスとENEOSが21日に発表した全文】

「当社元会長に関する一部報道について」

人権尊重、コンプライアンス徹底を経営の最優先事項と位置付けているにもかかわらず、今回の一部報道にあるとおり、元会長自らがこれに背く行為を行ったことは、極めて遺憾です。

被害を受けられた方に深くお詫び申し上げますとともに、ステークホルダーの皆様にご迷惑、ご心配をおかけすることとなりましたことをお詫び申し上げます。

これまで、被害を受けられた方のプライバシー保護を最優先とし、元会長の辞任の背景についての言及を控えておりました。

当社は、被害を受けられた方から一報を受けた後、ただちに、社長指揮の下で事実関係の調査を行い、元会長が不適切な言動に及んだと判断し、社長から辞任を求めました。元会長も深い反省を示し辞任届を提出したことから、当社取締役会は、これを受け入れることとしたものです。

今後は、社長のリーダーシップのもと、全社一丸となり、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えすべく、社業にまい進してまいります。