ウクライナへの侵攻を続けるロシアが核兵器を使用する懸念が高まる中、万一核攻撃に踏み切った場合、米国を含む北大西洋条約機構(NATO)が報復攻撃に出るのかどうか注目が集まっている。元CIA長官のデイビッド・べトレアス氏は2日に米ABCニュースの番組「ディス・ウィーク」に出演し、「プーチン大統領が核兵器を使用すれば、米国とその同盟国はウクライナのロシア軍を破滅させ、黒海艦隊を沈めるだろう」と述べた。同氏は「仮説」と前置きしながらも、「ウクライナの戦場で特定できるすべてのロシアの通常戦力を排除する。クリミアと黒海のすべての船も」と語り、報復の可能性を示唆した。

米国家安全保障問題担当のジェイク・サリバン大統領補佐官も、核を使用すればロシアは破滅的な結果を被るだろうとロシア側に警告していることを明かしている。

また、国家安全保障アナリストで核戦争の専門家であるジョセフ・シリンシオーネ氏も、ロシアが核の脅しを実行に移せば、米国は報復としてロシア軍を攻撃する可能性があると述べている。「米国とNATOは、数日でウクライナにいるロシア軍を破滅させる可能性がある。これでロシア軍は終わりだ」とポッドキャストの番組で語った。

プーチン大統領は先日、核兵器の使用を含むあらゆる手段でロシアの領土を防衛すると宣言したことを受け、核兵器使用への危機感が高まっている。英メディアは3日、ウクライナとの国境近くで核実験の準備をしている可能性があると報じているほか、放射性津波を起こすことができる核弾頭を搭載可能な新型原子力魚雷「ポセイドン」の実験の可能性も取りざたされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)