第43回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯)決勝、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)対斎藤慎太郎八段(29)戦が20日、千葉市「幕張メッセ」で公開対局として行われる。これを記念した棋士トークイベントが18日、都内のホテルで行われた。

藤井は2011年(平23)、斎藤は02年にJT主催の子ども大会でそれぞれ優勝している。優勝者同士が、プロとなって決勝でぶつかるのは初めてだ。ともに初優勝を目指す。

藤井は幼稚園の年長時代に初出場。「小1で3位、小2で初めて決勝に進出したが、すごいポカをして負けてしまいましたが、その経験を生かして翌年の小3、9歳の時に優勝できました。今回は11年ぶりの優勝の機会があるので頑張りたいです」と、来場した関係者を笑わせていた。

昨年は準優勝。今回は、羽生の持つ21歳2カ月の最年少Vを更新する可能性がある。その羽生とは今回のJT杯2回戦(9月、札幌市)で対戦した。「レジェンドと大きな舞台で対戦できるという楽しみな気持ちとか、高揚感を感じながら対局していました」と振り返る。11月6日、地元名古屋市の準決勝では稲葉陽八段(34)を下し、勝ち上がってきた。

決勝に向けて、「これまでの経験を生かして精いっぱい戦いたい」と語った。

盤から離れた趣味に触れられると、鉄道好きらしく「最近はトレインシミュレーターを1人で楽しんでいます。小さいころは電車の運転士になりたいと思っていましたが、なかなかうまく運転できないし、大変だと思いまして。これは趣味でやった方がいいかもしれないと思いました」と苦笑していた。

対する斎藤も20年前、小3で優勝した。その時のプロの公開対局は、森内俊之九段対森下卓九段(段位は現在)だった。「握手をしてもらったのと、一緒に写真を撮ってもらったのを覚えています。これは宝物です」とも話した。

前々回ベスト4であり、今回は1回戦(7月、金沢市)で木村一基九段(49)、2回戦(9月、熊本県上益城郡)で渡辺明名人(38)、準決勝(10月、大阪市)で永瀬拓矢王座(30)を撃破して、初めて決勝に進出した。藤井が史上最年少5冠なら、こちらは昨年と今年の名人戦に連続で挑戦者となっている。将棋界を代表する実力者の1人でもある。

斎藤は9月に結婚したばかり。「気持ちが落ち着きます」と話した。

20日の大一番に向けては、「自分の1番のパフォーマンスを出せるように整えて臨みたい」と話していた。