今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選　2022ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、都内で発表され、選考委員特別賞に「青春って、すごく密なので」が選ばれた。今夏の甲子園で東北勢初優勝を果たした宮城・仙台育英の須江航監督（39）が、優勝インタビューで発言。コロナ禍の行動制限で苦しんできた全国の高校生らを思う言葉の温かさに、選考委員からも共感を得た。トップ10には「スマホショルダー」「てまえどり」「Yakult（ヤクルト）1000」「悪い円安」など日常生活に直結する言葉が目立った。

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仙台育英・須江監督が日刊スポーツの取材に応じ、あらためて新型コロナと共存する高校生らとの共闘を誓った。

須江監督　多くの学生が過ごす3年間は、とても大変な苦しい我慢や犠牲を強いていると思いますが、コロナの中で行った努力や知恵、情熱は自分の人生で大きな花を咲かせる糧となると思うので、一緒にコロナ禍を乗り越えていけたらなと思います。

高校入学前から学校イベントがことごとく中止や規模縮小となってきた現3年生世代。思い出が深まる密な交流の時間を過ごせなかった子どもたちの目線に立った象徴的なフレーズは、野球ファンのみならず国民の共感を得た。

須江監督　全国の大人が、自分たちが過ごしてきた高校時代とは違う学生時代を過ごしている子どもたちがいることを理解し、少しでも子どもたちの未来が明るくなるようなことを提供できたらと思ってもらえれば幸いです。

選考委員で歌人の俵万智さんも「今年一番心震えるひと言。忌み嫌われる言葉として定着してきた『密』を、青春を大肯定する文脈で用い、若い人たちがどれほど貴重な時間や体験を奪われてきたかを、そばで見守ってきた1人の人間として言わずにいられなかった切実さと説得力に、胸を打たれました」と評した。

須江監督はコロナがまん延して活動が制限されてきたこれまでも、現役選手だけでなく、卒業生らとも「LINEグループ」でつなぎ、情報共有や相談しあう場所をつくるなど、関係だけは「密」にしてきた実績もある。

仙台育英は今秋の東北大会で優勝し、来春センバツ出場が濃厚となった。「こんなに注目してもらえるとは思っていませんでした」と驚きの表情を見せたが、東北勢夏春連覇だけでなく、言葉にも注目が集まりそうだ。【鎌田直秀、佐藤究】