今年10月の選挙で当選に必要な法定得票数に達した候補者がおらず、再選挙となった東京都品川区長選は4日、投開票され、前回最多得票数を獲得した森沢恭子氏(44)が、ほかの5人を破り、初当選した。

今回も法定得票数に達した候補がいなかった場合、自治体の首長選挙で史上初の再々選挙になる可能性があった。1度目の選挙、今回とそれぞれ約2億円の税金が経費として投入されており、再々選挙によるさらなる税金の無駄遣いは、回避されることになった。

森沢氏は当選を決めた後、事務所で会見し「本当に多くの方にご支援をいただいた。選挙戦で訴えた7つの政策を着実に実行して参ります」と述べた。選挙戦では「区民と進める新しい品川区政」を訴えており「皆さんの声を聞きながら丁寧に区政を進めていきたい」と、意欲をみせた。

再々選挙を回避できたことには「率直に言って、ほっとしています」。今後の政治家としての目標については「私の後に続きたいと思ってもらえるような、ロールモデルを目指したい」とも述べた。

前回は、2万7759票で法定得票数に約590票足りなかったが、今回は前回の得票からほぼ倍増する見通し。支援者からは「ブラボー」「ぶっちぎりだ」と、喜びの声が上がった。

森沢氏は日本テレビ記者などを経て17年、東京都議に初当選。今年9月、2期目の都議を辞職し区長選に転じた。前回は法定得票に約590票足りなかった。浜野健前区長と連携し、浜野区政の「継承と発展」を訴えたほか、子育て、高齢者や障がい者政策、区政の見える化推進など7つの重点政策を訴えた。

一方、前回次点だった石田秀男氏(63=自民推薦)は、前回前面に押し出さなかった自民党の推薦を今回は打ち出した。区議22年の実績による「即戦力」を訴え、国会議員も応援に入るなど組織固めによる票の上積みを目指したが及ばなかった。

今回の選挙には、森沢氏、石田氏のほか、村川浩一氏(75=共産推薦)西本貴子氏(62=無所属)山本康行氏(46=無所属)石田慎吾氏(43=国民民主党推薦)の計6人が立候補。再選挙になった前回と同じ人数だったため、再々選挙への懸念が強まっていた。

一方、投票率は32・44%で、前回10月の区長選の35・22%を下回った。【中山知子】