岸田文雄首相は5日、都内のホテルで開かれた連合の新年交歓会に、2年連続で出席した。

首相はあいさつで「今年の春闘で、連合は5%程度の賃上げを求めている。ぜひインフレ率を超える賃上げを実現できるようにお願いし、政府としても取り組みを後押ししていきたい」と述べ、連合の取り組みを支援する考えを表明。「働く人の立場に立って、三位一体の労働市場改革を加速させる。賃金が増え、日本企業が強くなり、子供が増える。そんな社会を次の世代に引き継いでいきたい」などと呼びかけた。近年、自民党による“接近”が取りざたされる連合との関係をアピールするような形になった。

連合は野党・立憲民主党、国民民主党の最大の支援団体。この日の新年交歓会には、立民の泉健太代表や国民の玉木雄一郎代表ら野党の党首も出席した。会合の前には、岸田首相や公明党の山口那津男代表が、連合の芳野友子会長と和やかに談笑する場面もあった。

岸田首相は昨年、安倍晋三元首相以来9年ぶりに現職首相としてこの新年会に出席しており、2年続けての出席。この日は松野博一官房長官も出席した。

昨年は参院選が行われたが、今年は春に岸田政権の今後を占う統一地方選を控える。こうした選挙を見据えた野党支持基盤の切り崩しが、自民党による連合への接近の背景ともいわれている。【中山知子】