将棋の最年少5冠、藤井聡太王将（竜王・王位・叡王・棋聖＝20）が羽生善治九段（52）の挑戦を受ける、第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局が21日、大阪府高槻市の温泉旅館「山水館」で始まり、午後6時、先手の羽生が61手目を封じて1日目を終えた。

持ち時間各8時間のうち消費時間は藤井が4時間24分、羽生が2時間55分。形勢はほぼ互角とみられるが、持ち時間では藤井が約1時間半の差をつけられている。羽生がペースを握っているとの見方もある。

初防衛を目指す藤井が開幕連勝し、5冠堅持に前進するか。前人未到のタイトル獲得通算100期を目指す羽生が巻き返し、タイに追いつくか。世代を超えたスターが初めてタイトルを争う歴史的な一戦は、先手の羽生が飛車先の歩を突くと、藤井も飛車先の歩を突いて応じ、戦型は相掛かりになった。

先後同型の展開が続き、互いに相手の出方を探った。相掛かりは指し手のバリエーションが広いとされる。羽生と同じく将棋への飽くなき探究心を持つ藤井は、前夜祭で「1手1手しっかり考えてつくり上げていく将棋にしたい」、羽生は「みなさんに楽しんでいただけるような面白い将棋をさせるように全力を尽くしたい」と意気込んだ。

羽生が変化を入れながら積極的に攻めると、藤井は対応するために時間を使った。1日目の終了直前、藤井が1時間に迫る長考の末、玉を上がる決断の一手を放つと、羽生は盤上を見つめ「そっか～」とつぶやいた。32歳差の「夢の対決」。2日目は22日午前9時に再開する。【松浦隆司】