全国各地で相次ぐ広域強盗事件をめぐり、警視庁は26日までに、昨年10月に東京都稲城市で起きた強盗致傷事件に関与したとして、職業不詳真坂怜斗容疑者(23、東京都墨田区)ら男8人を逮捕した。一部容疑者の携帯電話の解析で「ルフィ」「キム」「ミツハシ」を名乗る指示役が、通信アプリ「テレグラム」を通じて指示をしていた。ルフィとキムの電話の国番号はフィリピンの63だった。

逮捕容疑は、昨年10月20日、稲城市の住宅に押し入り住人にけがをさせ現金約3500万円や金塊を奪うなどした疑い。うち1人は処分保留で釈放。8人のうち、無職葛岡隆憲容疑者(25、宇都宮市)ら3人は昨年11月の山口県岩国市の強盗未遂事件で起訴。無職大古健太郎容疑者(33、大阪府藤井寺市)ら2人は、昨年12月の広島市の強盗殺人未遂事件にも関与したとみられる。大古容疑者は昨年12月に東京都中野区で起きた事件でも再逮捕され、同事件の逮捕は5人目。

稲城市の事件では、大半がネット上の「闇バイト」に応募して集まったという。携帯電話の解析で、自身の顔と運転免許証を撮影し、グループ内で送信したことも判明。連絡に応じないと自宅に不審者が訪れ、離脱を諦めた容疑者もいた。「100万円前後の報酬を得られると言われ参加した」「組織の監視の可能性を考えた」「本当に怖い組織に入ってしまった」「(組織に)事前に身分や家族構成を伝えてしまい、家族への危害を恐れて、やめられなくなった」と話す容疑者もいる。

岩国市の事件では、被告がSNSで「日当100万円」などの投稿をみて応募し「報酬100万円のたたき(強盗の隠語)の仕事がある」などと持ち掛けられたことが分かっている。また東京、広島市、山口市のほか、京都市の貴金属店で昨年5月、計約6900万円相当の高級腕時計が奪われた事件でも、ルフィなどと名乗る人物が指示を出していた疑いも浮上した。

東京都狛江市の住宅で大塩衣与さん(90)が殺害された強盗殺人事件では、現場付近から逃走したとみられるレンタカー2台が事件前日の今月18日に借りられていたことも判明。18日に狛江市内を走行しており、下見とみられる。

警察庁は26日、広域強盗事件について、昨年以降、関連が疑われる窃盗等の事件も含め14都府県で少なくとも計20件が起きていると明らかにした。各地の警察がこれまで一部事件で実行役とみられる10~30代の三十数人を逮捕したという。

狛江市の事件など、関東を中心とした8都県で昨年10月以降に起きた強盗や強盗致傷など14件は関連性が強いと判断しており、逮捕した10~30代の三十数人は、いずれも14件の一部に関与した疑いが持たれている。また京都の強盗事件、大阪の強盗致傷事件も関連を捜査。群馬、滋賀、岡山、福岡の4県でも関連が疑われる事件が少なくとも1件ずつあり、容疑は窃盗や住居侵入だという。