藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が史上最年少6冠を目指して渡辺明棋王(38)に挑戦する、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第1局が5日午前9時から、長野市「長野ホテル犀北館」で始まった。先手後手を決める振り駒は、と金が4枚出て、棋王戦初挑戦の藤井が先手を引いた。対局開始が立会人の青野照市九段より告げられると、いつものようにマスクの右側を外してお茶を一服、口に含む。気持ちを落ち着けて、飛車先の歩を突いた。後手の渡辺も飛車先の歩を突いて、注目の対決はスタートした。

両者の対戦成績はここまで藤井の12勝2敗。タイトル戦でも3回対決しており、2020年(令2)の棋聖戦5番勝負では3勝1敗で藤井が初戴冠、21年棋聖戦は3連勝でタイトル初防衛、昨年王将戦7番勝負も4連勝で奪取し、史上最年少5冠に輝いている。昨年の獲得賞金と対局料が1億2205万円と、デビュー6年目で初めての1億円棋士超えを果たし、「賞金王」(2位は渡辺の7063万円)となった。

今期は挑戦者決定トーナメントは準決勝で佐藤天彦九段に敗れたが、「ベスト4以上は2敗で失格」という独自のルールで敗者復活戦に回った。1つも負けられない状態から勝ち上がり、初の挑戦権を獲得した。

対する渡辺は棋王戦10連覇中。第43期と第47期に登場した永瀬を除き、すべて違う対戦相手を下している。今回はタイトル戦11連勝という最強の挑戦を相手に、約1年ぶりの対局でどんな指し回しを見せるのか注目される。

持ち時間は各4時間。5日夜には決着の見込み。