藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が初防衛を目指して国民栄誉賞棋士・羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局(東京都立川市「SORANO HOTEL」)は9日午後6時、66手目を後手の藤井が封じ、初日を終えた。

1年前に王将を奪取した地で、史上最年少5冠が自玉に厳しく迫る羽生の踏み込みに対して長考に沈んだ。封じ手の1手には、実に2時間24分もかけた。

午前9時から始まった対局は、先手の羽生が角換わりに誘導した。千日手指し直しの3局を含めて過去54局のタイトル戦の中で、藤井が最多の25局を選んだ戦法だ。シリーズ1勝2敗で迎えた今局を落とせば、羽生はかど番に追い込まれる。タイに追いつくため、命運を託して正々堂々、あえて相手の得意戦法に飛び込んだ。

先手番の第2局は相掛かりから快勝した。「主導権の取りやすさをうまく生かして」。8日の前夜祭では第4局への決意をこう述べていた。持ち時間各8時間のうち、消費したのは羽生の2時間7分に対し、藤井5時間15分。鋭い指し回しで時間を削った点では、初日は作戦成功か。結果は、10日午前9時から再開される2日目に分かる。【赤塚辰浩】