各地で相次いだ広域強盗事件で「ルフィ」などと名乗り指示した疑いがある4人のうち、フィリピンの入管施設に残っていた渡辺優樹(38)、小島智信(45)両容疑者が9日、強制送還され、特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で逮捕された。東京都狛江市の強盗殺人事件では男3人が重要参考人として浮上し、「キム」と名乗る人物が手袋など用意するよう指示していたことも判明。警視庁は、特殊詐欺事件や一連の強盗関連事件の全容解明を目指し、今村磨人(38)、藤田聖也(38)両容疑者を含め4人の取り調べを本格化させる。

グループのリーダー格とされる渡辺容疑者と、小島容疑者は移送中の午前2時20分ごろ、機内で逮捕された。航空機は同4時45分ごろ、羽田空港に到着。渡辺容疑者は黒のパーカのフードをかぶり、黒のズボンで、うつむいたまま。小島容疑者は胸元に「1977」とプリントされたモスグリーンの半袖Tシャツに黒のズボンで、別々の車で渋谷署に移送された。逮捕容疑について、警視庁は認否を明らかにしていない。

特殊詐欺では、小島容疑者も現金の回収などを担っていたという。グループによる被害額は全国で計60億円以上で、容疑者約70人が摘発。グループは強盗に犯行形態を変えていったとみられる。強盗関連事件では、21年夏以降に14都府県で起きた強盗や窃盗の計五十数件は関連が疑われている。4人の関与や指揮系統、組織の解明が焦点となる。

強盗関連事件では、複数の事件でルフィやキムと名乗る人物が通信アプリ「テレグラム」などを使って指示していたことが判明。ルフィとキムの電話の国番号がフィリピンの「63」と確認されたケースもある。警視庁は4人から押収された計15台ほどの携帯電話やタブレット端末を解析する。

狛江市の事件では、重要参考人として東京都中野区の強盗傷害事件で逮捕された永田陸人容疑者(21)、広島の強盗殺人未遂事件で逮捕された男、石川県内で偽造免許を使った疑いで逮捕された男が浮上。逃走したレンタカー内にあったスマートフォンには、「キム」がテレグラムで送った「手袋や目出し帽を用意するように」「地下に金がある」「老人を殴れるか」などのメッセージが残っていたことも分かっている。