ローカル列車を紹介する「ぶらり鉄道」の第6回は北海道最初の鉄道、官営幌内鉄道の足跡をたどる。アメリカ人のジョセフ・ユーリー・クロフォード氏の指導の下に開拓使によって手宮(小樽市)から幌内(三笠市)の間に敷設された鉄道。幌内炭鉱から小樽港まで石炭を輸送する手段として1880年に開業し、北海道の近代化を促進し、戦後の高度経済成長期に増大した貨物輸送量を支え、北海道の発展に大きな役割を担った事業となった。手宮駅から南小樽駅間の手宮線は1985年、岩見沢駅から幌内駅間の幌内線は1987年に廃止され、現在は南小樽駅から岩見沢駅間が残っている。

手宮駅跡地は小樽市総合博物館となっていて、駅舎があった場所には北海道鉄道開通起点標が建てられている。当時の建造物や使用されていた蒸気機関車(SL)、クロフォード氏の銅像などが展示されている。手宮線の跡地には当時の線路が今も残っており、散策したり、イベントが行われたりと観光名所になっている。

南小樽駅から札幌駅に向かう途中は海岸線を通る。開業当時は約3時間かかった乗車時間は現在は約40分。不思議な形状をした恵比寿島を横目に日本海を眺めながら進んでいく。天気が良ければ増毛連峰を眺めることが出来る。

札幌駅で乗り換え岩見沢駅へ。空知地方の石炭輸送の重要な役割を果たした駅だ。手宮、室蘭、苫小牧の港に向かう貨物列車が多く往来した岩見沢駅は現在、周辺市町村からのバス路線が集結し、交通の要衝としての役目を担っている。

岩見沢駅から三笠市市民会館までバスに乗車し、約10分くらい歩くとクロフォード公園がある。幌内線の幌内太駅跡地に作られ、当時の面影を再現した駅舎と跨線橋が残されている。公園の名前は市民からの愛称応募により名づけられた。野外ステージなどもあり、市民の憩いの場になっている。【撮影と文・佐藤翔太】

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