WBCの日本ラウンドが開幕した。昨年のサッカーW杯で大人気だったPV(パブリック・ビューイング)会場の、東京タワー横のスタジオ「スターライズタワー」(東京都港区)は定員400席完売の満員だった。最前列では侍戦士をマネた「ちょいまねジャパン野球部」16人も全力で応援した。

先発登板して打順でも3番に入った二刀流大谷翔平(28)担当の「太谷(ふとったに)翔平」は一般から公募で参加した都内在住の松岡由紘さん(33=会社員)。身長は175センチと“本家”より小さいが体重は96キロと「重さにこだわってモノマネしてみました」と投球する際に左ほおを前にする顔の傾け方に固定しながらアピールした。

兵庫県生まれで報徳学園高時代は水泳部に所属し、京都府で行われた大会で優勝した実績を持つ。野球の経験はない。立命館大情報理工学部に入学し、その知識をいかして都内のIT企業に就職し、営業職で10年働いてきた。今年3月、退職して以前から興味のあったアプリ開発をするために起業する予定だ。

会社の同僚から「侍ジャパンのものまね集団があるんだけど、どうやら大谷がいないから募集してる、って。オマエ、似てるからいけるんじゃない?」。環境が変わることも影響したが、ちょいまねリーダーでヌートバー担当(ノートバー)のお笑いタレント、クロワッサン。(41)に思い切って連絡し、面接後に正式にメンバー入りした。

ちょいまねジャパン野球部のほとんどがお笑いタレント。松岡さんが驚いたのは「モノマネへの意識が高い。何か質問をされてすぐに笑いに結びつくような答えを用意している。アプリ開発に役立ちそう」と感心するばかり。さらに「日本代表のレプリカユニホームを購入するのにどうすればいいのか。すぐに疑問に答えられるそんなアプリがあったら便利ですよね」とメンバー入りしたことで気付きもあったという。

PV初参加について松岡さんは「スポーツバーとかの経験はあるけど、こんな大きなスタジオでは初めて。歓声の大きさは感動ものですね。2回終了時にオオタニさ~んがマウンドを降りるときにウインクしましたよね。いやー、マネしていいのかなぁ」とどぎまぎしながら400人満席に酔いしれていた。【寺沢卓】