作家でノーベル文学賞受賞者の大江健三郎さんが3日未明、老衰のため亡くなった。88歳だった。講談社が13日、発表した。葬儀は家族葬にて執り行った。後日、お別れの会を開く予定(期日未定)。

大江健三郎さんは、1935年1月31日、愛媛県喜多郡大瀬村(現・内子町大瀬)生まれ。東大在学中の1957年、「奇妙な仕事」が東大の第2回五月祭賞を受賞して文壇の注目を浴び、1958年、23歳で「飼育」で芥川龍之介賞を受賞、その後、数々の文学賞を受賞し、1994年には川端康成に次ぎ日本人として2人目となるノーベル文学賞を受賞。

その後も2013年の「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」にいたるまで精力的な創作活動を続け、その集大成が「大江健三郎全小説」(2018~2019年)としてまとめた。また、「ヒロシマ・ノート」(1965年)、「沖縄ノート」(1970年)などのルポルタージュや新聞、雑誌などでの社会的発言でも注目を浴び、核問題をはじめ現代日本が直面しているさまざまな課題へ向き合った。

2004年には「九条の会」、東日本大震災後には「さようなら原発1000万人アクション」の呼びかけ人の一人となり、デモや講演活動にも傾注。「戦後民主主義」者を自任し、つねに社会へ警鐘を鳴らし続けた生涯だった。

代表作に、「芽むしり仔撃ち」(1958年)、「個人的な体験」(1964年)、「万延元年のフットボール」(1967年)、「洪水はわが魂に及び」(1973年)、「同時代ゲーム」(1979年)、「新しい人よ眼ざめよ」(1983年)、「燃えあがる緑の木」(1993~1995年)、「取り替え子(チェンジリング)」(2000年)、「水死」(2009年)など。