岸田文雄首相は16日夜、来日した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫妻を東京・銀座のすき焼きとオムライスの「銀座グルメはしご外交」でもてなした。

首相と裕子夫人は、まず尹氏と「美しすぎるファーストレディー」といわれるキム・ゴンヒ夫人を、日本料理店「吉澤」で出迎え、すき焼きに舌つづみを打ちながら交流を深めた。その後、「2次会」に選んだのが、1895年(明28)創業で、食通で知られた作家池波正太郎さんも通ったことで知られる老舗洋食店「煉瓦亭」。同店が発祥の「オムライス」は、かつてこの店で食したことがある尹氏にとって「忘れられない味」だった。尹氏の就任まで、冷え切った間柄が続いた日韓関係の改善へ、岸田首相は「オムライス外交」を展開することで、関係強化への決意を示した形だ。

両首脳は夕食会に先立ち、官邸で首脳会談と共同会見を行った。国際会議以外の韓国大統領の来日は12年ぶり。首相は、関係正常化で合意したとした上で「長い冬の時期を抜け、さらに関係を発展させていくことで一致した」と強調。首脳同士の相互訪問「シャトル外交」の再開、北朝鮮のミサイル発射を受けた安全保障協力推進も確認した。