第20回統一地方選の前半戦となる9道府県知事選と6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が9日に投開票される。

選挙戦最終日を迎えた8日、各候補は各地で最後の訴えに奔走した。大阪は前回19年と同様、知事選と市長選の投開票日が重なる「ダブル選」で、「維新」と「非維新」がぶつかる構図だ。維新は「全国政党化」を目指す上で、絶対に落とせない戦い。非維新はヒョウ柄の「大阪のおばちゃん」&「大阪のお母さん」の女性タッグが最後まで支持を訴えた。

大阪府知事選で再選を目指す政治団体・大阪維新の会の現職吉村洋文氏(47)が大阪・難波で「最後の訴え」を行った。「昔の古い政治の時代に戻すのはまっぴらゴメン。大阪を強くしたい」。吉村氏と並んでマイクを握った大阪市長選の候補者、大阪維新新人の元大阪府議横山英幸氏(41)は「強い危機感を持って、維新の改革を進めたい」と訴えた。

ダブル選は11年以来、維新と非維新という構図を軸に争われ、維新が3連勝中だ。知事・市長の両ポストを引き続き独占することを狙う維新は横山氏の知名度不足をカバーするため、選挙期間中、吉村氏が二人三脚で街頭に立った。

各社の情勢調査では、維新に勢いがある。維新は、昨年の参院選で6議席増やし、比例票では「野党第1党」に躍進した。「全国政党化」を目指す上で、力の源泉となる市長、知事選での「ダブル勝利」は“至上命令”となる。

4年前のダブル選と違い、反維新勢力は分散。政治団体「アップデートおおさか」が支援する無所属新人の法学者谷口真由美氏(48)は最終日、大阪市内で街頭演説した。ヒョウ柄のコート、「大阪のおばちゃん代表」を自任する谷口氏は、維新の象徴である「身を切る改革」について「スリム化、合理化で傷だらけの痩せっぽちの大阪になってしまった」と批判した。

ダブル選では、カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の大阪誘致の是非が争点となった。選挙戦初日、「私は大阪のお母さんになりたい」と宣言した「アップデートおおさか」が支援する無所属新人の元市議北野妙子氏(63)は「維新を大勝させたら、カジノを推し進め、数にモノを言わせ3度目の都構想の手続きをする」と訴えた。

府知事選に立候補する共産党推薦の無所属新人の元参院議員辰巳孝太郎氏(46)は「走れ、コータロー。」のキャッチフレーズとともにJR天王寺駅周辺で「カジノを造らないことが一番のギャンブル依存症対策だ」と主張した。

府知事選には、吉村氏、谷口氏、辰巳氏の他に参政党新人の歯科医吉野敏明氏(55)、諸派新人の執筆業稲垣秀哉氏(53)、政治家女子48党新人の薬剤師佐藤さやか氏(34)が立候補している。

大阪市長選には横山、北野氏、無所属新人の飲食店経営荒巻靖彦氏(58)、無所属新人の作家ネペンサ(本名・安達真)氏(48)、無所属新人の理学療法士山崎敏彦氏の5人が立候補している。