4月15日の東京ディズニーランド(TDL)40周年に合わせ、1983年の開業から勤続40年のベテラン社員が15日までにインタビューに応じた。

オリエンタルランド技術本部安全品質管理室のマネジメントエンジニアの清水利彰さん(60)は開業してウエスタンランドに配属された。「カントリーベアシアターの担当でした」と振り返った。

陽気なクマ18頭がズッコケながらも楽しいジャズ演奏を披露するアトラクションだ。清水さんは「クマの中には人はいなくて、油圧で動く機械フィギュア」と話した。40年前、機械仕掛けのクマは珍しく、ゲスト(来場者)からは「動きが精巧すぎて本当は人間が入っているんじゃないの?」などと言われることが珍しくなかった。

機械仕掛けのクマは「もうしょっちゅう油漏れです。閉園後、翌朝までには完全復活させなきゃいけない。特に前列の3姉妹“サンボネット”は精巧な機械で、かなり面倒みましたね」と清水さんは連日クマと格闘していた日々に思いをはせた。

コロナ禍のさなかの20年9月、「美女と野獣」の世界観を再現した「ニューファンタジーランド」がオープンし、清水さんはエンジニアのサブリーダーだった。「どんなことが発生しようともゲストにとってはすべてのアトラクションが通常に運行していなければならないんです。通常と安全を提供することの難しさでしょうか」と普通が当たり前の難しさを語った。

ゲストの喜ぶ表情は仕事に向かっていくエネルギーになる。清水さんは「普通運行が当たり前なんです」と笑顔をみせた。

地曵(じびき)睦さん(60)は、専門学校を卒業して、1983年4月にオリエンタルランドに入社した。アトラクション運営部で資材調達などを担当していた。植栽などを担当していた時期があり「1年かけてクリスマスイベントに使う、あのワールドバザールに飾る、大きなモミの木を探したこともありました」と話した。当時は自然の木を調達して2カ月以上イベント期間中枯らすことなく維持させていた。「今じゃ、管理が難しいから人工物のレプリカですけどね」と笑った。

変わったところではアメリカンフットボールのヘルメットの調達依頼があった。地曵さんは「何に使うのかなぁ、と不思議に思いました。広大な駐車場の車を誘導するのに赤いコーンを設置するんです。軽トラを走らせて荷台から等間隔で置いていくんですが、荷台から落ちたときを想定して。バイクのフルフェースタイプのヘルメットでは視界が狭まるので、という理由でした」と笑った。

そして、入社して40年の歳月についての感想として「まさか、この会社が40年続く企業になるなんてね。日本で初めてのテーマパークだったけど、世間の評判は3年ぐらいで違う施設になるだろう、とか言われてましたから。わからないもんですね」と地曵さんは腕組みをして頭をかいた。【寺沢卓】