東京都渋谷区議選(定数34)は23日、投開票され、かつてアイドルグループ「仮面女子」の「桜雪」として活動し、前回初当選した無所属の橋本ゆき氏(30)が、立候補者62人中トップの3190票を獲得し、再選された。

55人が立候補した前回は4位の得票数で初当選しyたが、今回はトップ当選で議席を守った。

橋本氏は24日未明、自身のツイッターを更新し、当選を報告。「3190票というたくさんのバトンをいただき、トップ当選させていただきました。『橋本ゆき』と名前を書いてくださった1人1人を想像して、心が震えるような、背筋が伸びるような思いでいます」などとつづり、支援に謝意を示した。

橋本氏は東大卒で元アイドルという異色の経歴を持つ。1期目は任期4年のうちの大半が新型コロナ禍のさなかにあり、自身が身を置いたエンターテインメント業界が苦境に立たされる現実を目の当たりにした。

選挙戦の街頭演説では「エンタメは不要不急といわれ、心が痛んだ。元アイドルの議員として、エンタメやカルチャーの力を信じている私だからこそできることがある」と主張。区内のライブハウスへの空気清浄器設置や換気対策のための工事を行ったとして、エンタメ業界の支援に奔走した日々を振り返った。

「エンタメは日常生活に必要ないといわれたが、私は、明日頑張ることができるために必要なものと思っている」と述べ、「カルチャーが集まる渋谷区のためになる街づくりを目指したい」と、独自の視点からの街づくりを提案。1期目の4年間で100以上の政策提案を行い、50あまりで課題を解決したという。「傷つくことも、しんどいと思ったことも何度もあった」と話しつつ「ステージに立つのが楽しくて、このために頑張ろうと思っていた仮面女子での日々を思い出して頑張ることができた。皆さんが『楽しい』と思える場所を、しっかりつくっていきたい」と訴えていた。

選挙戦では、「仮面女子」の現役メンバーが応援に駆けつけたほか、作家の乙武洋匡氏も何度も応援に入った。新しい任期を得たことで、アイドル出身の区議ならではの視点を駆使しながら、渋谷の新たな街づくりを目指す構えだ。【中山知子】