次期衆院選から新設される東京28区(練馬区の東部)をめぐって連立政権を組む自民、公明両党が候補者擁立で対立している問題で、公明党は24日、党会合を開き、同区での候補者の擁立を取りやめた上で、東京の小選挙区で自民党候補の推薦を見送る方針を固めた。25日の党常任役員会で正式決定し自民党に伝える。

自民は東京28区に元職を擁立する予定で、公明は今月、同区への候補擁立を自民側に伝えた。自民内では反発が強く、23日、茂木敏充幹事長が公明の石井啓一幹事長に、東京28区での公明候補の擁立は認めないと伝えた。28区以外で自民候補が未定の東京12区、15区を念頭に、公明が擁立する場合は協力する考えも伝えたが、公明側は、自民が公明党の28区候補擁立を拒否するなら、東京都内の小選挙区での選挙協力解消を迫り、一歩も引かない構えをみせていた。

この日の公明側の方針は、まさにその通りの対応になった。自民党東京都連内には、公明党に必要以上に譲歩すべきではないとする主戦論の一方で、公明党との選挙協力が解消された場合の選挙情勢に与える影響を懸念する声も出ていた。

関係者によると、公明は都議会での自民との協力関係も白紙にする方針。自民側に「最後通告」(関係者)ともいえるボールが投げられた形だが、自民党の反発は避けられない。両党とも引くに引けない状況で、このまま交渉が決裂すれば、自公連立政権が行き詰まる恐れもある。

東京の小選挙区は、小選挙区定数「10増10減」に伴い次期衆院選から、現在の25選挙区から30選挙区に5つ、選挙区が増える。新設される5つの選挙区のうち、公明党はすでに東京29区(荒川区、足立区の一部)に、前回は東京12区で当選した岡本三成氏の鞍替え擁立を発表ずみ。加えて、公明の支持基盤が厚い地域とされる東京28区の候補擁立に打って出ようとしたところ、自民党の反発に遭うことになった。

次期衆院選では、全国的に勢力を増す日本維新の会も、東京の30選挙区すべてに候補を擁立する方針を、23日に表明。他党は戦々恐々で、東京の小選挙区は激戦区が激増する見通しだ。維新の勢いが、公明党の都市部での新たな候補者擁立戦略に影響しているとみる向きもある。