インターネットの動画投稿サイトで芸能人らを脅迫したなどとして、警視庁は4日、暴力行為法違反(常習的脅迫)などの疑いで、元参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)を逮捕した。

滞在先のアラブ首長国連邦(UAE)から帰国したガーシー容疑者はTシャツに短パン姿で、成田空港内で逮捕状を執行された。議員を除名され、逮捕状が取られて3カ月。捜査で外堀を埋められ、最後は追われるように容疑者となって日本に戻った。

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近年国会では、既存政党とは異なるさまざまな新規政党が候補者を擁立し、選挙を経て国会議員を送り出している。国会の活性化、意見の多様性という面ではメリットもあるし、新しい人材が国政に出てくるのは歓迎されることだと思う。

他方で、昨年の参院選でガーシー容疑者を国政に送り出した旧NHK党は、ガーシー容疑者の初当選後も海外滞在を認め、国会に登院するよう積極的に動いたふしは、少なくとも見えなかった。国会には国会のルールがあって、国会議員である以上、今あるルールを守るのが最低限の役目だ。先日、れいわ新選組の議員が議場で紙を掲げたことで懲罰を受けたが、国会に新風を吹き込むことと、何をやってもいいということは少し違う。ガーシー容疑者も議員になった以上は国会に来て、国会で議員の役目を果たさなければならなかった。はなから登院の意思がないなら早めに辞職するか、最初から国会外で発言や提言をすればよかった。

参院選では約28万7000万票を獲得した。「暴露系」と呼ばれた容疑者に、国会でさまざまなことを暴いてほしいと期待し1票を投じた有権者も多いはずだ。一方で、ノリや人気投票のような感覚で選ぶようなことはなかっただろうか。国会で仕事をしない議員に除名まで約7カ月分、2000万円近い歳費が支給された。「国会に来ない」議員はもう出てこないとは思うが、長い間、身勝手な自己都合がまかり通らないような厳格なルールも必要かもしれない。【中山知子】